※未UPの原稿は依然としてあるが、とりあえずは報告である。その10※
前回の投稿の続きである。

入院・手術にあたって一番の不安は、麻酔であった。
前回の投稿でも書いたが、麻酔で動けない身体・・・つまり攻撃を防げない状態・・になることが怖かったのだ。
【男は敷居を跨げば七人の敵あり】・・と言う言葉があるが、
私はこれまでの人生の経験から、
『オレには、敷居を跨げば100人の敵あり』
・・と、常々言っている。
これまでの経験から、人を信用していない私である。
手術での一番の不安は、動けないこの状態のことだったのだ。
しかし、もう一つ相反する不安もあった。
『感覚フィードバックが無い・・と言うことは、随意運動ができなくなるハズ・・』
・・と言うのは、知識としてわかってはいても、
『神経線維は繋がっているのであるから、実際には動かせるのではないか?。』
・・と思ったのだ。
そして、 【いらないいたずら心】 が働いて、大事な時に動かしてしまうかも?
・・・と思ったのだ。
私はいつも、歯医者での診療の際、現時点での自分の歯の状態を知るために、どうしても舌で触ってみたくなるのをガマンしている・・・。
・・・あの、自分の行動を抑えようと努力するガマンの状態が続くとすれば苦痛だ・・・それがもう一つの不安だったのだ。
そこで、腰椎麻酔を経験したカミサンに尋ねてみた・・。
『「動かそう」だなんて、そんな事・・考えの欠片もよぎらなかった。・・いつもそんな事思ってしまうの?!。』
『感覚フィードバックが無いのに、普通は動かせないんじゃないかなぁ?。学校で勉強してきたんでしょ?。』
・・・と呆れられた。
私自身も、我ながら自分の神経質加減に半ば呆れてはいたのであるが、こればかりは自己の持つ気質であって、今後もその気質を持ったまま生きていくことが私の人生なのだ。
仕方がないので、手術説明に当たった手術部の看護師や麻酔科の医師、執刀医にも、
『馬鹿げた質問だとは思うが、・・・』 ・・と、前置きした上で尋ねた。
どの人も、 『いや、動かないと思いますよ。』 、 『動くかなぁ?、動かせないと思うけどなぁ・・。』 、 『動かせませんよ・・たぶん・・。』 、 『いやぁ、無理じゃないかな。』 ・・と言った反応であった (どの人も、こんなバカげたことは、考えたことすらないのだ。笑) 。
・・・と、言う訳で、手術が始まって、麻酔の効きを確認している時に、執刀医に 『動かしてみて?どう?、やっぱり無理じゃない?。』 ・・と言われ、動かないことを確認して、私は 『動かんわ。よかったぁ~。』 ・・と言って、笑っていた。
麻酔の注射は、 【腰椎穿刺】 と言って、背中の腰のあたりに打つのであるが、丁度第3腰椎と第4腰椎の間・・だったと思う (・・ガッコやめて10年も経ってるので、覚えた知識もそうだが、ヤコビー’sラインの綴りすら思い出せんわ。・・難しいつづりの単語ではなくたかが人名なのに・・。苦笑) が、そこに針を刺すので、第2腰椎の高さ位で終わっている脊髄を損傷することはない・・とされている (・・だったと思う・・。苦笑) 。
・・で、丁度、その辺りの神経の支配する領域から、感覚が麻痺していく・・・とは言っても、「徐々に」ではない。あっと言う間に、全身に広がって行く。
腹部から下腿のあたりまではすぐに感覚が無くなった。足部はほんの少し表在感覚が残った感じがあったが、しばらく待つと全く感じなくなった。
術後は、胸から下が全く感覚が無い状態から、少しずつ感覚が戻ってくる。
戻ってくる時間に左右さがあったのが、面白かった。
術後、病室に来た麻酔科医の話では、麻酔薬は重く、側臥位での麻酔薬の注入なので、左右差が出る・・・との事 (「成程~。」・・と、えらく感心した。) 。
で、麻酔の効いている間、筋は弛緩状態なので、重力に任せてベッドとの接地部に圧力がかかり続ける。
そのため接地部分の血流が悪くなる。
感覚も無いし、そもそも動かせないので、血流阻害状態の改善は全く期待できない。
・・と言う訳で、 【褥瘡 (いわゆる床擦れ) 】 もできやすいのであるが、短時間なのでそれほど心配はない (・・とは言え、手術に3時間余り。更に、術後数時間は脚の感覚が無かった。かなり長かった。) 。
この麻酔下の状態では、むしろ、心配なのは、 【エコノミークラス症候群】 である。
これは、静脈の中に血栓ができる・・つまり血の塊ができ、それが血管を詰まらせてしまう・・・という状態だ。
コイツが血管の中を流れて、肺の血管を詰まらせてしまうと、 【肺塞栓症】 ・・肺によるガス交換ができない状態になる訳である。
これを予防するために、弾性ストッキングを履くのであるが、私はアレの効果は全くないと思っている。
血管にとって効果がある圧力は、個人によって違うはず。しかも、個人の脚のサイズだって、皮下脂肪の厚さだってバラバラだ。
それを、あんな万人向けに作られた量産品のストッキング (サイズがあると言っても、せいぜい数種類。しかも、太さサイズのみ。) で、患者全員がプラス効果のみを得られる・・・なんて、オカシクないか?。
まあ、何か身体の様子がおかしいと感じたら、ナースコールをすればすぐに対応してくれる・・・そのために入院しているのだから。
そのため私は、術後は、麻酔がかなり切れてくるまで、できるだけ寝ないように心掛けた。
しかし、動きの取れない身では、かなりヒマなので、実際にはウトウトしていた (私の精神力など、この程度のもんだ・・。) 。
先にも書いたが、麻酔科医曰く、『麻酔薬は重いため左右差が出る。』。
しかし、その重さ故に、それだけでなく、最初に麻酔が効きだした部分は、最後に麻酔の切れる部分である・・・ということを実感する (次回に書きます。) 。
つづく


前回の投稿の続きである。

入院・手術にあたって一番の不安は、麻酔であった。
前回の投稿でも書いたが、麻酔で動けない身体・・・つまり攻撃を防げない状態・・になることが怖かったのだ。
【男は敷居を跨げば七人の敵あり】・・と言う言葉があるが、
私はこれまでの人生の経験から、
『オレには、敷居を跨げば100人の敵あり』
・・と、常々言っている。
これまでの経験から、人を信用していない私である。
手術での一番の不安は、動けないこの状態のことだったのだ。
しかし、もう一つ相反する不安もあった。
『感覚フィードバックが無い・・と言うことは、随意運動ができなくなるハズ・・』
・・と言うのは、知識としてわかってはいても、
『神経線維は繋がっているのであるから、実際には動かせるのではないか?。』
・・と思ったのだ。
そして、 【いらないいたずら心】 が働いて、大事な時に動かしてしまうかも?
・・・と思ったのだ。
私はいつも、歯医者での診療の際、現時点での自分の歯の状態を知るために、どうしても舌で触ってみたくなるのをガマンしている・・・。
・・・あの、自分の行動を抑えようと努力するガマンの状態が続くとすれば苦痛だ・・・それがもう一つの不安だったのだ。
そこで、腰椎麻酔を経験したカミサンに尋ねてみた・・。
『「動かそう」だなんて、そんな事・・考えの欠片もよぎらなかった。・・いつもそんな事思ってしまうの?!。』
『感覚フィードバックが無いのに、普通は動かせないんじゃないかなぁ?。学校で勉強してきたんでしょ?。』
・・・と呆れられた。
私自身も、我ながら自分の神経質加減に半ば呆れてはいたのであるが、こればかりは自己の持つ気質であって、今後もその気質を持ったまま生きていくことが私の人生なのだ。
仕方がないので、手術説明に当たった手術部の看護師や麻酔科の医師、執刀医にも、
『馬鹿げた質問だとは思うが、・・・』 ・・と、前置きした上で尋ねた。
どの人も、 『いや、動かないと思いますよ。』 、 『動くかなぁ?、動かせないと思うけどなぁ・・。』 、 『動かせませんよ・・たぶん・・。』 、 『いやぁ、無理じゃないかな。』 ・・と言った反応であった (どの人も、こんなバカげたことは、考えたことすらないのだ。笑) 。
・・・と、言う訳で、手術が始まって、麻酔の効きを確認している時に、執刀医に 『動かしてみて?どう?、やっぱり無理じゃない?。』 ・・と言われ、動かないことを確認して、私は 『動かんわ。よかったぁ~。』 ・・と言って、笑っていた。
麻酔の注射は、 【腰椎穿刺】 と言って、背中の腰のあたりに打つのであるが、丁度第3腰椎と第4腰椎の間・・だったと思う (・・ガッコやめて10年も経ってるので、覚えた知識もそうだが、ヤコビー’sラインの綴りすら思い出せんわ。・・難しいつづりの単語ではなくたかが人名なのに・・。苦笑) が、そこに針を刺すので、第2腰椎の高さ位で終わっている脊髄を損傷することはない・・とされている (・・だったと思う・・。苦笑) 。
・・で、丁度、その辺りの神経の支配する領域から、感覚が麻痺していく・・・とは言っても、「徐々に」ではない。あっと言う間に、全身に広がって行く。
腹部から下腿のあたりまではすぐに感覚が無くなった。足部はほんの少し表在感覚が残った感じがあったが、しばらく待つと全く感じなくなった。
術後は、胸から下が全く感覚が無い状態から、少しずつ感覚が戻ってくる。
戻ってくる時間に左右さがあったのが、面白かった。
術後、病室に来た麻酔科医の話では、麻酔薬は重く、側臥位での麻酔薬の注入なので、左右差が出る・・・との事 (「成程~。」・・と、えらく感心した。) 。
で、麻酔の効いている間、筋は弛緩状態なので、重力に任せてベッドとの接地部に圧力がかかり続ける。
そのため接地部分の血流が悪くなる。
感覚も無いし、そもそも動かせないので、血流阻害状態の改善は全く期待できない。
・・と言う訳で、 【褥瘡 (いわゆる床擦れ) 】 もできやすいのであるが、短時間なのでそれほど心配はない (・・とは言え、手術に3時間余り。更に、術後数時間は脚の感覚が無かった。かなり長かった。) 。
この麻酔下の状態では、むしろ、心配なのは、 【エコノミークラス症候群】 である。
これは、静脈の中に血栓ができる・・つまり血の塊ができ、それが血管を詰まらせてしまう・・・という状態だ。
コイツが血管の中を流れて、肺の血管を詰まらせてしまうと、 【肺塞栓症】 ・・肺によるガス交換ができない状態になる訳である。
これを予防するために、弾性ストッキングを履くのであるが、私はアレの効果は全くないと思っている。
血管にとって効果がある圧力は、個人によって違うはず。しかも、個人の脚のサイズだって、皮下脂肪の厚さだってバラバラだ。
それを、あんな万人向けに作られた量産品のストッキング (サイズがあると言っても、せいぜい数種類。しかも、太さサイズのみ。) で、患者全員がプラス効果のみを得られる・・・なんて、オカシクないか?。
まあ、何か身体の様子がおかしいと感じたら、ナースコールをすればすぐに対応してくれる・・・そのために入院しているのだから。
そのため私は、術後は、麻酔がかなり切れてくるまで、できるだけ寝ないように心掛けた。
しかし、動きの取れない身では、かなりヒマなので、実際にはウトウトしていた (私の精神力など、この程度のもんだ・・。) 。
先にも書いたが、麻酔科医曰く、『麻酔薬は重いため左右差が出る。』。
しかし、その重さ故に、それだけでなく、最初に麻酔が効きだした部分は、最後に麻酔の切れる部分である・・・ということを実感する (次回に書きます。) 。
つづく





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